ミニベロブランドやミニベロファンがしまなみ海道に集まり、ツーリングなどを通して交流するイベント「ミニベロツーリングフェス in しまなみ海道Vol.5」が2019年5月11日(土)、12日(日)の2日間にわたり開催されました。2015年に開催されたVol.1から数えて第5回を迎えた同イベント。今回はしまなみ海道の島々を巡る1泊2日のツーリングと、瀬戸田サンセットビーチで2日間にわたり開催された試乗会&マルシェの2本立てで実施されました。
ミニベロの長所は色々ありますが、最大の特徴は上の写真が物語っている、年齢や脚力を問わない「ユルさ」でしょう。週末にロードバイクでレースに出られているような方の中にも、セカンドバイクとしてミニベロに乗る方が多いのはよく知られています。普段着のまま自転車で出掛けて街を散策したり、輪行で遠出してその土地の風景や文化に触れたり。走ることだけを目的にするのではなく、気軽に(ユルく)使えるのがミニベロの良さです。そして、老若男女問わず同じような志向の方と出会い、一緒に楽しめる年に一度のイベントが、この「「ミニベロツーリングフェス in しまなみ海道」です。
サイクリストの聖地をロングライド
ツーリング1日目の行程は、早朝に尾道駅前の芝生広場に集合後、チャーター船で今治まで移動、波止浜港から生口島の瀬戸田サンセットビーチまでをツールングし、試乗会やマルシェを楽しんで夕方旅館にチェックイン、夕食は大広間で懇親会という予定です。
早朝6時。JR尾道駅前の芝生広場にツーリング参加者が続々と集まってきました。ノーマル仕様の試乗車に対し、参加者の愛車には様々なカスタムが施されているものが多く見られます。

Tartaruga(タルタルーガ) Type SPORTのコンセプトは、自転車の「SUV」。アルミフレームならではの硬くてしっかりとした剛性感のあるフレームをベースに、独自発想のオリジナルサスペンションを前後に装着し、「硬いのに軟らかい」独特の乗り心地が実現されています。右の車体にはKitt designのガーボンバトンホイールが装着されています。

写真のTartarugaは、タルタルーガ・エンターテイメントワークス 代表兼デザイナー 吉松さんのType SPORT GT。前日にキャンプツーリングと釣りに必要な装備一式を積んで、羽田から飛行機輪行、広島空港からバス輪行をされてきました。ブログで今回のイベントに参加された様子をご覧いただけます。 ミニベロツーリングフェス in しまなみ海道 vol.5 その1 / その2

「メイド・イン・さぬき」を掲げるTyrellは高級ミニベロのイメージで一目置かれるブランドの一つ。社名の「アイヴエモーション」は『アイ・ハブ・エモーション(情熱を持ち続ける)』から名付けられたそう。
集合の挨拶の後、一行は尾道港ポートターミナルからバイクとともにチャーター船で今治へ。船は昨年デビューした瀬戸内クルージングのCycleship LazuLi(サイクルシップ ラズリ)です。

LazuLiは、自転車を輪行せずにそのまま積み込んで航行することができる客船で、旅客定員75名(うち客室内45席)、自転車積載台数(参考)約50台のほか、Wi-Fi 無料接続、モバイルコンセントはもちろん、バリアフリー対応設計と、最新の設備を誇ります。
朝日に照らされながらの出港。尾道水道には多くの船が行き交います。
LazuLiは新しいだけあって船内もとても綺麗、そして最新の設備が整っています。コンセントやWi-Fiもあるので、ネットを使うのにも便利。美しい島々の景色を船から堪能し、心地良い風に吹かれ、朝食のお弁当をいただいたりしていると、あっという間に今治の波止浜港に到着しました。
一般社団法人尾道観光協会の方々による注意事項の説明やツーリング前の準備体操、記念撮影などをしていよいよツーリングへ。
今治から生口島へ向けて一つ目の橋、来島海峡大橋を渡ります。しまなみ海道には一般道から橋梁にアプローチするための専用の自転車道(自動二輪との併用区間あり)が整備されていて、比較的緩やかな勾配で上ることができます。
大島でのライドの前半は、島の中央を縦断するメインルートではなく西の海岸線沿いに設定された外周ルートを走ったため、漁村や造船所、来島海峡大橋を望むスポットなどがありました。

ブルーラインの青色は、しまなみ海道を象徴する色として「しまなみブルー」が採用されています。細かな粒状の突起により滑り止め効果のある舗装がされていて、通常の道路区画線と比べ,濡れた状態でも非常に滑りにくくなっているそう。ルートが分かりやすく案内されていることに加え、車道を走行する自転車利用者に対し左側走行を促すとともに、自動車運転者に対して自転車への注意を喚起してくれます。

よしうみバラ公園で休憩。結構走った気分でしたが、まだ1/3です。(そしてこのあと、きつい坂が待っていました)
峠を越えて一気に下り、また気持ちいい海岸線を。大島から伯方島に渡る、伯方・大島大橋が見えてきました。どこで見ても海が綺麗で感動します。峠を超えた後だと、ひとしお。

要所要所にはスタッフが立ち、車の往来の確認や正しいルートへの誘導など、しっかりとしたサポート体制で運営されていました。ツアーにはサポートカーやメカニックが付き、まったくの初心者でも安心して参加できるプランになっているので、しまなみ海道サイクリングのデビューにこのイベントを利用するのもオススメです。
伯方島にある 道の駅 伯方S・Cパーク(愛称 マリンオアシスはかた)に到着。ご当地名物「伯方の塩ソフトクリーム」を食べている方もチラホラ。こちらの道の駅ではその他、伯方の塩を使ったさっぱり味のしまなみ特製塩ラーメンや、じゃこ天なども名物です。

今回のツーリングの運営でお世話になった尾道観光協会さんの“おのたび” 特製サイクルジャージ。NAGI BIKEやサイクルハウス しぶやのロゴも入っています。“おのたび” は尾道の旅の略で、尾道観光協会が運営する「おのなび旅行社」が責任を持って紹介するツーアーブランド。
伯方島の次は、大三島橋を渡って大三島へ向かいます。大三島には「サイクリストの聖地」記念碑のある、道の駅 多々羅しまなみ公園もあります。

島の西側には日本総鎮守と呼ばれる大山祇神社(おおやまづみじんじゃ)もある大三島。ブルーラインは島の東岸を通ります。向こうに多々羅大橋が見えてきたら、多々羅しまなみ公園はもうすぐ。多々羅大橋は1999年の完成当時、世界最長の斜張橋だったそうです。
道の駅 多々羅しまなみ公園は、世界有数の斜張橋「多々羅大橋」やすがすがしい瀬戸内海の景色を一望できるビューポイントとして人気のスポットで、「サイクリストの聖地」記念碑があることでも有名です。お約束の記念撮影に、お土産の買い物にと、皆さん楽しまれていました。サポートカーで荷物を運んでいただけるので、買い物もできて便利ですね。
いよいよ多々羅大橋を渡って、本日の目的地、生口島へ。橋の上で、愛媛県から広島県に入ります。
ちょうど昼頃、本日のツーリングのゴール地点、生口島の瀬戸田サンセットビーチに到着しました。無事故無違反、機材トラブルも特になく安全に楽しめたのは、参加者のマナーと、主催者の運営のお陰ですね。その後、昼食をいただいて試乗会やマルシェでの飲食を楽しみました。
試乗会&マルシェと、旅館つつ井での休息
瀬戸田サンセットビーチでは、試乗会&マルシェが2日間を通して開催されていました。十数ものミニベロブランドがブース出展するイベントは、大規模なイベントでもそうそう無いこと。新しくて珍しいブランドも出展していて、ミニベロファンにとってはたまらない空間です。

多くの試乗車を用意していたTyrell(タイレル)のブースでは、Tyrellファクトリーで生産される「ファクトリーモデル」の高品質の証となる Tyrell × KADOWAKI『匠色takumiiro』も。見る角度、光の色によって変化する色彩と透明感は、匠の技の結晶です。写真は「せとしるべ ルビーレッド」。

カーボンミニベロ SPARTAN が有名なCYCLE HEARTのブースで見つけたこちらのバイクは、BILLION リオネル クリアポリッシュ ブルホーンバーモデル。顔が写り込むほどピカピカなクリアポリッシュ(クロムメッキ)のクロモリフレームで、ハンドルエンドに装備されたシフトレバーで、ハンドルを握ったまま前後のギアチェンジがスムースに行えます。

CarryMe、birdy、IF move、Reachなどを扱うPacific Cycles Japanのブースでは、試乗車も盛りだくさん。birdyとCarryMeで利用できるカラーオーダーシステムは、カドワキコーティングのパウダーコーティングを純正カスタムとしてスペシャルな価格で提供するもの。カラーサンプルを見ながら自分だけのプレミアムなカスタムを考えると…欲しくなりますね。

KUWAHARA BIKEWORKSのブースでは、支柱部分を空気で膨らますエアピラー方式の軽量コンパクトなテント UPONより今年発売されたばかりの2人用のダブルウォールタイプテント Dorcus Tent が。テントスペースは130x240cmと大人2人でも広々としたスペースを確保し、収納サイズは15x35cmと2Lのペットボトルと同じくらいの高さ。重量も装備一式で1.6kgと非常に軽量で、バイクキャンプにもってこいの製品です。

eBikeブランド BENELLI(ベネリ)のブースには、16インチサイズで内装3段変速のmini Fold 16や20インチモデルでファットサイズタイヤ(20×2.4)を装着させた「ZERO N2.0 FAT」などが。eBikeなら島の山に登ったりと、しまなみ海道でもいつもとは違ったところに足を延ばせそうですね。

DAHONやTernを扱うアキボウのブース。やはり人気は、最前列に置かれたプレミアムeBikeのVektron S10。Boschの電動システムを採用し、2.5時間でフル充電、最長100kmものアシスト走行が可能なので、しまなみ海道も走れますね。

eBikeブランド BESVのブースでは、発表前のフォールディングeBikeが展示されていました。秋から冬にかけて発表と聞いていましたが、予定をだいぶ早めることができているようです。

軽く力を加えるだけで、ホイールがいつまでも回り続けるハブで有名なGOKISOが今年が初出展。ホイールの小さい小径車はその分回転数が増えるので、よく回るハブのメリットを受けやすいんですよね。妥協せずに高性能なパーツを求められる方にとっては、必須のアイテムです。

しまなみ海道のサイクリングを最高に楽しむには、リタイアの不安をゼロにすることが不可欠。こちらは、自転車とサイクリストの輸送に特化したリタイアサポートサービスを提供するWAKKAのブースです。事前に知っておくと安心してサイクリングを楽しめそうですね。
イベント会場の様子はYahoo! JAPAN クリエイターズプログラムで動画でも公開されています。併せてご覧ください。
会場内には試乗コースが用意されていますが、3kmほどのコースをスタッフとともに試乗するミニツアーも毎時実施されていました。多くの方が参加されていましたが、山の斜面もコースに含まれているのでeBikeも人気が高かったようです。
こちらは夕方、瀬戸田港前に佇む旅館つつ井に宿泊されている方々の懇親会。地元の新鮮な食材は、最高の贅沢ですね。
生口島をぐるっと一周ツーリング
2日目は、生口島を反時計回りに一周するツーリングに参加。距離は23km程度ですが、多くのスポットを尾道観光協会にご案内いただき、みなさんワイワイと楽しまれていました。

生口島一周ツーリング、出発は瀬戸田サンセットビーチから。尾道観光協会の方kara注意事項や行程の説明があり、いよいよ出発です。ライド中もスタッフによる走行時の安全確保が徹底しているので、安心して参加できます。
ルートは反時計回りの一周。昨日渡った多々羅大橋の方に向かい、そのまま橋の下を通過して更に生口島を南下します。推奨ルートを示すブルーラインと、青い空と、青い海。そして美しい橋のある風景を見て、しまなみ海道を走っている実感が湧きます。
ツーリングでは「島ごと美術館」にも立ち寄りました。フォトジェニックなロケーションにみなさんノリノリで、次々と楽しそうに撮影されていました。
島をぐるっと周り、因島と生口島を結ぶ生口橋の下を通過。生口島は、平山郁夫美術館や耕三寺、先ほど触れた野外彫刻作品が点在する島ごと美術館など、歴史と文化の香りにあふれている、観光スポットの多い島です。瀬戸内しまなみ海道の通る6つの島のうちほぼ中央に位置する島で、隣の高根島との間の生口瀬戸に古くから栄えた港、瀬戸田が広く知られていおり、瀬戸田が島の代名詞にもなっています。また生口島は、国産レモン発祥の地、レモン生産量日本一であり、全国有数の柑橘類の産地となっています。

ジェラート専門店 ドルチェの瀬戸田本店にも立ち寄りました。しまなみでのサイクリングではお約束スポットです。

耕三寺の鮮やかな門の前を通過。境内には日本各地の古建築を模して建てられた堂塔や観音像、地獄を表現した350mのトンネルや、寺の雰囲気とかけ離れた真っ白な丘(未来心の丘)など見所がたくさんあるので、ゆっくり観光するのもおすすめです。
みなさん、お疲れ様でした。このあと美味しいランチをいただいたり、試乗会を楽しんだり、みなさん思い思いに過ごされました。
旅の締めくくりはラ・マル・ド・ボアで
ツアーの締めくくりは、尾道駅から岡山駅までJRの観光列車「La Malle de Bois(ラ マル ド ボア)」に乗車。サイクルトレインとして、自転車をそのまま載せることもできます。

こちらの作品は、現代アート作家 蓮沼昌宏氏による宇高連絡船をモチーフとしたオリジナルのトランク型絵本「連絡船の物語」。アニメーションの起源とも言える“キノーラ”と呼ばれる機械をもとに新しく開発されたアート作品で、取っ手を回すとパラパラ漫画の要領で物語が進みます。
今回の取材は、アートな観光列車に乗って旅の余韻に浸りながら終了しました。また来年も実施されたらぜひ参加したいですね。「ミニベロツーリングフェス in しまなみ海道」は、ミニベロでしまなみ海道でのサイクリングを考えておられる方にはイチオシのイベントです。また来年、お会いしましょう。
開催概要
名 称:ミニベロツーリングフェス in しまなみ海道Vol.5 *Link → 公式サイト
日 程:2019年5月11日(土)〜12日(日)
主 催:ミニベロツーリングフェス実行委員会
・アンデックス 株式会社
・一般社団法人 尾道観光協会(おのなび旅行社)
・有限会社 アイヴエモーション
・株式会社 しぶや
協 力:瀬戸田サンセットビーチ(SBせとだ共同事業体)
西日本旅客鉄道株式会社(せとうちパレットプロジェクト)
後 援:広島県、愛媛県、尾道市、今治市、一般社団法人尾道観光協会