2017年2月14日(火)から18日(土) まで、東京サイクルデザイン専門学校(以下、TCD)の学内において個性溢れる7台のミニベロを展示しています。TCDよりレポートをお送りいただきましたので、ご紹介いたします。
(Photo:全てTCD)
“mini vélo” セレクション 2017
2017.2.14(tue)-2.18(sat)
東京サイクルデザイン専門学校では、「デザイン」「ビルディング」「メンテナンス」をカリキュラムの3本柱とし、3つの観点から自転車について学んでいます。今回展示しているミニベロは、2年生が今年度制作した作品4点と、歴代の卒制作品3点です。この展示中のミニベロの制作に於いても「デザイン」「設計」「フレーム製作」「パーツ組み付け」と、すべての工程を学生自身が行っています。学生自らが1から考え、制作した、純度の高いオリジナルミニべロを是非ご覧下さい。
■湯澤 慧さんの作品
ランドナー風のミニベロが欲しかったので作ろうと思ったのがきっかけで、この自転車を設計しました。形はトラディショナルなホリゾンタルフレームにし、ミニベロでは珍しいラグを使用しました。ランドナー風にするために泥除けを取り付けられるようにし、センタープルブレーキを選択しました。アウター受けを取り付ける必要があったので、せっかくならスッキリした見た目にしようと思い、アウター受けつきのステムを自作しました。
■藤田 涼平さんの作品
目指したのは街乗り最強の自転車。特徴は長いフォーク。前三角はロードバイクとほぼ同じ。20インチホイールの俊敏性を持ちつつ、ロードバイクのようなシルエットになりました。
長いフォークは振動吸収性にも優れており、快適に街乗り出来ます。カラーはブラック一色でまとめました。ブレーキはディスクブレーキ。メインコンポはDura-ace7800。高い制動力と変速性能を実現しました。
■宮永 大輝さんの作品
このミニベロ課題を作るにあたって、自分自身が乗り味的にも、見た目的にもミニベロが好きではなかったので従来のフレーム形状にとらわれない形にしようと思いました。スケッチをするときは鉄で作るということをあえて考えないようにし、そこから鉄フレームとして製作可能な形に落とし込んでいきました。小径タイヤの長所を生かそうと思い、色々なコンセプトの自転車を考えましたが、700cに勝るトータルでの運動性能は小径タイヤには見込めないと考え自転車自体のコンセプトはスポーツではなく、コンフォート街乗車にしました。
今回の課題ではパイプの曲げや、ダウンチューブへのシートチューブの貫通など普通のフレーム製作ではやらないことを沢山学べました。
■東峰 司さんの作品
コンセプトは快適性。街をのんびり散策できるように乗り心地と柔らかい見た目にこだわりました。トップチューブとシートチューブを1本のパイプにし なるべく流線型の外観を損ねないためにアウター受けをつけず、内装工作を施しました。色も街にとけこみ性別関係なく乗れるようなすっきりしたカラーリングでまとめました。
■大坂 匠さんの作品(2014年度卒業生)
「LOW」
自転車と大地は密接な関係にある。それは世の中にある多くの乗り物の中で、自転車が最も大地を「感じる」ことができるからと言える。傾斜、風、路面状況。すべてが乗り手に対しダイレクトに伝わってくる。普通はそれらの抵抗をどうクリアするかを考えるのだが、私はより積極的にそれらを「楽しみたい」。そう思ったのだ。そのためには今までと同じではいけないと考えた。その結果、より大地を近くに感じ、より風を切り裂いて前へと進む。そんな自転車が完成した。変化球だがこれもまた良いのではないだろうか・・・
■横溝 志郎さんの作品(2015年度TCD卒業制作展グランプリ作品)
「S-CART」
歩く機能をないがしろにしても、女性を「美しく見せる」という事だけで支持され続けているのが「ハイヒール」です。一般の女性にとって、「単なる移動手段の自転車」からさらに求められる事の一つが、この女性の永遠のテーマである「自分自身を美しく見せる」ことかもしれません。
【この自転車の特徴】
女性がもっとも美しく見える姿勢で乗車できるフレームデザイン。乗り手の全身を見せるためにハンドルは後方に。スカートでもまたぎやすい低い車高。
■荒川 靖夫さんの作品(2016年度TCD卒業制作展グランプリ&企業賞受賞作品)
「SLOW KEEPER」
高齢化社会に向けた提案です。ジャイロ効果を利用し、低速でも倒れにくい自転車を考案しました。中央のジャイロホイールで最大の効果を得る為、リムに鉛を付けパテを盛り重量を増やしました。また、チェーンリングを大きな物に換え回転数を上げています。効果に関しては、まだまだ実験を重ねていく必要がありますが、普通自転車と比べた時の安定感の違いは感じ取れる一台になったと思います。
展示ギャラリーの様子