フォールディングバイクをお持ちのみなさん、輪行されていますか? 輪行(りんこう:公共交通機関を利用して自転車を運ぶこと)で行けば、遠く離れた土地でも時間も気にせず愛車でサイクリングできるので便利ですよね。せっかくフォールディングバイクをお持ちでも、輪行したことのある方は少ないようですので、今回はその輪行の中でもハードルが高い「イメージ」のある飛行機輪行についてご説明します。
フォールディングバイク(折りたたみ自転車)は盗難防止を目的に屋内での保管に便利ですが、輪行を活用すればさらに世界が広がります。輪行といえば鉄道での移動をイメージされる方が多いと思いますが、結論から言えば「国内に限れば、飛行機輪行がいちばん楽!」です。列車での移動では、車両内で他のお客様の邪魔になっていないか終始気を遣いますが、飛行機の場合はカウンターで預けてしまえば到着空港で受け取るまで完全に手ぶらになり心配は不要です。飛行機輪行はとても簡単なので、ぜひトライしてくださいね。
飛行機輪行の流れ
今回は実際の流れに沿って、モデルの綾野ゆりかさんに挑戦していただきました。飛行機輪行は3ステップでとても簡単です。
・Step 1. 折りたたんで専用の袋に入れる
・Step 2. 手荷物カウンターで預け入れる
・Step 3. 到着空港の手荷物受取所で受け取る
この3ステップについて、順を追って見てみましょう。
Step 1. 折りたたんで専用の袋に入れる
出発空港までの移動は様々ですが、鉄道や車、バス、タクシーの他に、自走という選択肢ももちろんあります。何れにしても、空港ターミナルに入る前に自転車を折りたたみ、専用の袋に入れます。

写真は自走してきたイメージ。飛行機輪行では車体が自分の手元から離れるため輪行袋はクッション性のある厚手のものを用意し、リアキャリアにくくりつけてきた想定。但し、撮影場所の関西国際空港は大阪湾内泉州沖5kmの人工島にあり、空港へ至る連絡橋は自転車や徒歩では渡れない。また撮影した関西空港駅イベント広場には、自走での乗り入れは不可。写真は記事用演出。
もちろんロードバイクなどでも輪行は可能ですが、フォールディングバイクは簡単に折りたためるものが多く、難しい知識や時間をほとんど要しません。今回の車体と輪行袋のパターンなら、折りたたんで輪行袋に入れるまで慣れれば1分程度です。

飛行機輪行に限らず折りたたんで持ち運ぶ際は、ギアはアウター×トップ(フロント、リアとも外側)にすることを癖づけておくと、変速機が少しでも内側になることで外的要因による損傷のリスクが減る。車体から突起するペダルは危ないので、必ず取り外すなどする。ワンタッチで脱着できるペダルや折りたたみペダルなどもあるので、飛行機輪行に限らず利用するのがベター。また一部の航空会社(ジェットスター等)では「タイヤの空気を抜いた状態」を義務付けているので、要注意。
輪行袋にサッと車体を入れて、準備は完了。こんな感じで持ち運びます。写真の輪行袋は肩から掛けられるタイプなので、女性でも軽快に歩くことができます。楽に輪行したい方は、自転車も軽いモデルの方が良いですね。

フォールディングバイクには軽いモデル、コンパクトになるモデルなど様々なものがあるが、空港ターミナルは広いため無駄な移動をしなくても済むように、車で来る場合は利用する航空会社のカウンターに最も近い駐車場を利用するなど、下調べをしておきたい。
Step 2. 手荷物カウンターで預け入れる
普段スーツケースなどを預け入れる時と同様、自転車の場合も手荷物カウンターで預け入れて、手荷物引き換え証を受け取るだけです。

今回撮影に協力いただいたANAの受託手荷物規定では、3辺の長さの合計が203cm以内で、20kgまでであれば無料とされている(普通席のお客様の場合)。手荷物カウンターに設置されている計測器で重量を確認してもらい、手荷物引き換え証を受け取れば終了。
荷物を預け入れて身軽になったので、出発までは空港内を散策。レンゾ・ピアノ設計の関空ターミナルは、建築マニア必見ですね。

鉄道での輪行とは異なり、カウンターで預け入れた後は自転車が手元を離れるので、搭乗までの時間は身軽な格好で自由に動き回れるのも飛行機輪行のメリット。写真は第1ターミナルビル 2Fの国内線出発・到着フロアではなく、4Fの国際線出発フロア。
Step 3. 到着空港の手荷物受取所で受け取る
快適な空の旅を終え、目的地の空港に到着。預け入れた自転車は丁寧に扱われ、ターンテーブルではなく係の方から直接受け取ります。「愛車を丁寧に扱っていただきありがとうございました!」
主要航空会社別お預けの手荷物(受託手荷物)に関するルール
主な航空会社の規約をWebから比較用に抜粋しました。詳しくは各航空会社による情報を必ずご覧ください。
受託手荷物規定 | 自転車関連 | |||
重量(無料の範囲) | サイズ(無料の範囲) | 個数 | 概要 | |
ANA 全日空 (全日本空輸 All Nippon Airways) |
20kgまで無料(普通席) | 3辺の長さの合計が203cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | ソフトケースに収納(折りたたみ式自転車) → Link |
JAL 日本航空 (JAPAN AIRLINES) |
20kgまで無料(普通席) | 縦50cm×横60cm×高さ120cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | 保護用ケースやカバーなどで梱包 → Link |
ジェットスター (Jetstar) |
チケットのクラスにより、全て有料、10kgまで無料など | 1辺の長さが1mを超える場合は、追加料金 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | 自転車用ケースに適切に収納 別途「タイヤの空気を抜いた状態」等詳しい指示あり → Link |
スカイマーク (SKYMARK AIRLINES) |
20kgまで無料 | 縦50cm×横60cm×高さ120cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | 自身で梱包、免責扱い → Link |
スターフライヤー (Starflyer) |
20kgまで無料 | 3辺の和の合計が203cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | |
ソラシドエア (Solaseed Air) |
20kgまで無料 | 3辺の和の合計が203cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | |
バニラエア (Vanila Air) |
チケットのクラスにより、全て有料、20kgまで無料など | 三辺の和が203cm以内、かつ一辺の長さが120cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link | 自転車用ケースや段ボールなど耐久性のある保護ケースに、折りたたみ、もしくは分解した上で適切に収納 → Link |
ピーチ (Peach) |
チケットのクラス、路線により、全て有料、20kgまで無料など | 3辺の和の合計が203cm以内 | チケットのクラス、路線による → Link |
自転車用ケースや段ボールなど耐久性のある保護ケースにて適切に収納 インターネット予約不可 → Link |
AIRDO | 20kgまで無料 | 3辺の和の合計が203cm以内 | 重量・サイズを満たしていれば制限無し → Link |
早めに手続きする → Link |
*スマートフォンの画面では見づらいため、こちらの画像も併せてご覧ください。
*記載している内容は、比較しやすい項目、特徴的な内容をまとめたもので、この情報が全てではありません。詳しくは各航空会社の公式サイトにおいてご確認ください。
*無料枠を超える重量、サイズについては各リンク先を参照してください。航空機の種類によっても制限は異なります。
*荷物の個数についての制限も航空会社によって定められています。
*スキー板やサーフボード等の長尺物、楽器など、特殊なものについては別途サイズ規定が設けられています。
*タイヤの空気を抜き、ハンドルの向きをフレームと並行にして固定する、ペダルやハンドルなどが突起物となることのないように適切に収納する、など細かく定められている航空会社もあります。
*2017年7月時点にWeb上で公開されている情報を基に抜粋しています。
こちらは番外編。フォールディングバイクのブランドによっては、オプションでハードケース等も用意しています。自宅から空港、異動先の空港から目的地までの間を自走する予定がないのであれば、こういったケースを利用してもいいですね。

写真はTernのAirPorter。Ternでは輪行袋も薄手で軽量のものから今回の厚手でクッション性のあるものなど、様々な移動手段を提供している。ブランドオリジナルのオプション製品のほか、市販品でも優れた製品が販売されている場合もある。