サイクリストの聖地「しまなみ海道」のほぼ中央に位置する大三島に、サイクリスト向け複合施設「IKIDANE CYCLIST HOSTEL & CAFE SHIMANAMI」が間も無くオープンします。MINI LOVEでも実際に宿泊してきましたので、レポートをお届けします。
粋なニッポン、もっと世界へ。をコンセプトにインバウンド集客支援とホテルの企画、運営を行う株式会社IKIDANEが、地元で造船業を営む和光汽船株式会社と協業しサイクリストに特化したカフェ・レストランとホテルの複合施設「IKIDANE CYCLIST HOSTEL & CAFE SHIMANAMI」をこの5月20日にオープンさせる。場所は全国のサイクリストに最も人気のあるサイクリングスポット「しまなみ海道」のほぼ中央に位置する大三島。途中で観光をしながら島々をゆっくり巡りたいミニベロファンにとって、尾道から今治までの約80kmを1日で走るのは無理があったので、ちょうど中央となる大三島で、しまなみ海道の推奨ルートに引かれている「ブルーライン」からほとんど逸れることなく快適に宿泊できるスポットができたことは、大きなメリットとなる。
当日、北隣の生口島で開催されていた「ミニベロツーリングフェス in しまなみ海道」試乗会の会場、瀬戸田サンセットビーチから電動アシスト自転車でゆっくり自走したところ、30分以内に到着した。撮影スポットとして有名な「サイクリストの聖地記念碑」のある道の駅 多々羅しまなみ公園からは、自転車で2分ほどの距離だ。
館内には段差が無く完全なフラットで、各部屋まで車体を押し歩きすることができる。施設は倉庫を大規模にリノベーションした建物だが、床は元のコンクリートの素材感をそのまま活かしている。
宿泊施設はホテルではなく、共有スペースを充実させて個々のスペースは最低限に抑えたホステル形式を採用していて、部屋のタイプは個室シングル、個室2段ベッド、カプセルベッドの3タイプ。廊下側の一面に厚いカーテンを用いて空間が区切られているだけで、利用前はどういった感じになるのか興味があったが、実際に利用してみるとプライバシーは完全に保たれ、静粛な空間で朝までぐっすり眠ることができた。

電源コンセントはベッドにあるだけだが、写真のように車体を停めればバッテリーを外さずにそのまま直接充電もできた。貴重品はデスクの足元の金庫を利用できる。(車体はTernの折りたたみ電動アシスト車 Vektron S10)

VektronはBosch製ユニットを採用し、最長100kmをアシストモードで走ることのできる折りたたみeBikeで、2.5時間という短時間でフル充電できる。バッテリーはワンタッチで外すこともできるが、そのままでも充電可能。

同行者のbirdyは壁に掛けた。トップチューブのある車体は壁掛けにすると、より部屋を広く使えそうだ。birdyは軽量アルミフレームが特徴のフォールディングバイクで、メインフレームで折りたたまない丈夫さや、長距離でも疲れにくいサスペンションで人気がある。
この施設の特徴は、地元の食材を使用した、本格的な愛媛グルメを堪能できるカフェレストランでの食事だ。中でも、宿泊者限定コースメニューとなる「SHIMA」「NAMI」は見るからに贅沢な素材を使った料理で、このコースをいただくためにここに宿泊する価値すらありそうだ。

手前が「NAMI」、向こうが「SHIMA」。「NAMI」はお惣菜5種(じゃこ天・てべら・奈良漬けクリームチー ズオレンジピール、くぎ煮、スモークサーモン森崎バ ジル)、いりこ出汁吉野豆腐、せんざん ぎ、小さめ鯛めし丼、漬物、味噌汁、デザート(わらび餅)から構成されていた。

「SHIMA」は同じくお惣菜5種(じゃこ天・てべら・奈良漬けクリームチー ズオレンジピール、くぎ煮、スモークサーモン森崎バ ジル)に、吉野麻婆豆腐、鯛カルパ、せんざんぎ、鯛の土鍋飯、漬物、味噌汁、デザート(わらび餅)という構成。当日は撮影のために同時に出してもらったが、実際にはいずれもコースなので頃合いを見計らって順番に提供される。
カフェレストランではこのほかにも、地元愛媛県の新鮮な食材を活かしたこだわりの料理が多数用意され、宿泊客以外でも利用できる。生口島の森崎農園の野菜、大三島で夫婦が営む豆腐屋が大長豆腐という昔ながらの製法で作る豆腐、有機・無農薬の柑橘栽培に取り組んでいる農家が大三島の小さな工房で製造しているリキュール、サイクリストに有名なところでは、瀬戸田ドルチェのジェラートと地元産のフルーツにしまなみ産のジャムを使用したスイーツなど、豊富なメニューは長期滞在もしたくなるほど。その他、料理には愛媛県産のお米、豚肉、鶏肉が使われている。
一日の汗を流すのは広々と使える個室のシャワールームで、シャワー手前の脱衣所もプライベートなスペースが確保されている。
眠りの質が良かったのか、スッキリした気分で朝を迎えた。朝食はパンバイキング。4種のパン、しまなみのジャム達、バター、スープ、ドリンクに、メイン料理が提供される。

「本日のしまなみジャム」は、しまなみ農園のブルーベリージャム、吉海町特産品開発グループによるいちじくジャム、船端富貴子さんのマドンナジャム、大澤美鈴さんのイヨカンジャムと、ジャムでも地元の素材を堪能できる徹底ぶり。
カフェレストランの手前は開放的な交流ラウンジ。宿泊者同士の交流や情報交換に便利そう。
写真は、地元農家で採れた柑橘類を使ったデトックスドリンク。ウェルカムドリンク代わりや、滞在中も喉が渇いた時に自由に飲める。
フロントカウンター前には、しまなみ海道の大きな地図も。ここ「IKIDANE CYCLIST HOSTEL & CAFE SHIMANAMI」がしまなみ海道のど真ん中であることが分かる。
施設では、しまなみ海道を既に楽しんでいるサイクリストだけでなく、これから自転車を始めるスポーツバイクビギナー層やファミリー層にも、自転車を通じて新しいしまなみ観光を提案していくそうで、今後「レンタルサイクル」、「観光ガイド」、「手ぶら BBQ」、「マリンレジャー」といったサイクリング+αのアクティビティを予定している。
道路を隔てた施設の向かいにはコンビニエンスストアが、そのすぐ横にはコインランドリー施設があり、長期滞在や自転車旅の途中で利用するのにも都合が良さそうだ。
自然豊かな島と美しい海、そして信号や交通量の少ないルート。「サイクリストの聖地」と呼ばれるほど素晴らしい瀬戸内のロケーションを堪能する拠点として、その中央となる大三島にこの複合施設がオープンする意義はとても大きい。これからしまなみ海道のサイクリングを計画する方には、ぜひオススメしたい施設だ。
IKIDANE CYCLIST HOSTEL & CAFE SHIMANAMI
最大宿泊人数:68名
所在地:愛媛県今治市上浦町井口7345-1
開業予定:2019年5月20日
電話番号:0120-228-069
カフェ併設、駐車場・駐輪場完備
*Link → 公式サイト