自分好みにバイクをカスタムしたり、 様々なタイプの車体をコレクションしたり、日本全国または海外の多くの国々をミニベロで走りながら旅行したりと、ミニベロファンにも様々なタイプの方がおられます。SNSなどでその様な方が情報を発信されると、そのディープさが話題になることが多く、ミニベロの潜在的な可能性に触れることができます。MINI LOVEではそういった方をピックアップし、不定期に発信していきたいと思います。
ミニベロマニア特集第1回は、数々のレースに出場し、ミニベロの速さを追い求めている紅さんです。
速さを競う自転車レースにおいては、ロードバイクが最も速く走れるのは周知の事実ですが、そこを敢えてミニベロで挑むマニアが(少数ですが)存在します。「ミニベロロード」と呼ばれるロード風にカスタムされたミニベロの人気も高まってきていますが、バイク自体の見た目やスペックだけでなく、日頃のトレーニングをとおしてロードに匹敵する成績をホビーレースで出すライダーが近年存在感を高めてきています。その中で今回取り上げる紅さんの機材やトレーニング方法とは…。
6月2日に開催された温泉ライダー 加賀温泉郷のヒルクライムレースについて、公式のTwitterアカウントが「最速タイムは、なんと20インチのミニベロ!」と投稿。後日大会事務局から計測ミスに関するお詫びが発表されロードバイクも含めた総合優勝は逃したものの、ロードバイクと対等に張り合うミニベロの存在が広く知れ渡りました。

*Link → 温泉ライダー 加賀温泉郷 公式アカウントのツイート

表彰台での写真など *Link → Instagram
<紅さんのミニベロ遍歴>
紅さんは大阪在住の会社員。もともとオートバイが趣味でサーキットでも少し走っていたそうですが、転職を機に始めた自転車通勤でミニベロの楽しさに触れ、通勤を快適にするためにカスタムを始めたところからミニベロのマニアックな世界に目覚められました。
2018.02
▶︎以前に16,000円で購入したまま乗っていなかった初めてのミニベロ(CALLE / VTT20)で、1日10km以上走ることを考える。SHIMANO TOURNEY 7sをブルホーンからドロップに変更しSTIレバー化など、3〜5万円くらいかけてカスタム。

*Link → Twitter
2018.05
▶︎TOURNEY 7sを105(5700)に変更、GARMIN Edge 520Jを購入し、タイム、走行距離、トレーニングを意識し始める。
2018.06
▶︎1ヶ月のライド距離が1,315kmを記録。
2018.09
▶︎格好良さに惹かれ、2台目のミニベロとしてTernのSurge(2019モデル、52サイズ)を購入。10S化。

*Link → Twitter Ternでは、20インチサイズを中心とするフォールディングバイクのほか、日本発信のROJI BIKESシリーズとしてクロスバイク、ノンフォールディングミニベロを展開。特にミニベロのSurgeシリーズは「ミニベロロード」という言葉が爆発的に知られるきっかけとなった。
▶︎ミヤノサイクルワークスでカバーホイールに試乗。

紅さんのTern Surgeにカバーホイールを装着し、普段との違いを体感(写真右)。Miyano Cycle Worksは2011年にカバーホイールマイスター 宮野暁氏により立ち上げられた、京都府長岡京市にある工房。自転車関連のオリジナルアイテムを開発していて、特にホイール径の小さなミニベロ用に開発したMCWカバーホイールは、誰もがその効果を体感できるヒットアイテムとなっている。軽量な韋駄天PRホイール前後と、そのPRホイールにベストフィットするMCWリアカバーのセットは、加賀温泉郷ライダー車種自由の部において、ロード勢との接戦を制して優勝するなどの実績も。*Link → MCWさんのカバーホイール試乗
2018.11
▶︎堺浜クリテを見学し、レースを意識し始める。
2018.12
▶︎Velo kitchenでカーボンフォークを購入。コンポをフルでSHIMANO ULTEGRA R8000化。
▶︎最寄りのプロショップの朝練で六甲などに走りに行くことが多くなる。「ロードと走ることで速く走れるようになる」そう。
2019.02
▶︎堺浜クリテ(フレッシュマン)に出場、12位/43人。
▶︎最終的に、カーボンフォーク、Q2ホイール、ディスクカバーなどでTern Surgeをカスタム。

*Link → Tern Surge 2019 カスタム 最終まとめ
2019.03
▶︎3台目のミニベロとして、ナカガワサイクルワークスのピッコロレーサー(クロモリ+カーボンハイブリット)をヒルクライム用に購入。

NAKAGAWA CYCLE WORKSは、1983年に創設された大阪・寝屋川にあるバイクハンドメイドビルダーの工房。翌1984年には雑誌「CYCLE SPORTS」の「日本の工房探訪」第1回で紹介され、1988には当時最強のクラブチームであるボスコへフレームを供給、一躍国内フレームビルダーの旗手に躍り出た。ナカガワ・エンドワッシャーが有名だが、オーダーでバイクも手掛ける。 *Link → ミニベロ3台目 ピッコロレーサー(Nakagawaフレーム)
▶︎第7回菰野ヒルクライムチャレンジin鈴鹿スカイラインに出場、オープンクラス 3位
▶︎堺浜クリテ18-’19 第5戦に出場、ビギナーⅡ 第1組 4位
2019.05
▶︎1ヶ月のライド距離が2,100kmを記録。
2019.06
▶︎温泉ライダー 加賀温泉郷に出場。
立杉ヒルクライム・柴山4時間エンデューロ ダブルエントリー 21位/65人
柴山4時間エンデューロ ソロ 総合順位 109位/358人
▶︎富士ヒルクライム Eグループ(第5)に出場、年代別19〜29歳 56位/924人 67:29
▶︎4台目のミニベロとして、ナカガワサイクルワークスのピッコロレーサー(アニバーサリー)をオーダー、完成待ち。クロモリチューブの内側にカーボンの層がある車体で、軽量性と剛性を併せ持ち、かつ伸びに優れるそうです。今後のレースでの活躍が楽しみです。
<紅さんにとってのミニベロ>
平日は、自宅から職場までの往復70kmを自転車通勤する紅さん。仕事帰りには山のコースを取り入れる日を作り、日頃からヒルクライムでのトレーニングを心がけています。土日も走りに行くことが多いため、最近は天候が良ければ週に400〜600kmほど走行されています。
ミニベロをアピールしたいMINI LOVEとして、紅さんの口からミニベロの有用性を引き出そうとしたところ…「ミニベロの感覚が好きなだけ」だそう。(笑) ミニベロの「タイヤが下の方にある感覚が好き」で、フレームの素材については「扱いに気を遣うカーボンよりも、タフなクロモリが好き」とのことです。
取材時に斜路での走行シーンも撮影させていただきました。場所は紅さんのホームグラウンドの一つ。滅多に車の通らない、細い山道。かなりの急勾配にも関わらず、すごいスピードでカメラの前を通り過ぎるのには驚きました。ミニベロでも凄い速い!
最近できたつづら折りの道が凄いというので、そちらも案内していただきました。こちらもかなりの勾配ですが…やはり速い!脚力が推進力としてダイレクトに路面に伝わっているようです。そして視線はカーブの出口の方を…(これはオートバイの時の名残だそうです)。
「ミニベロで山を登るのが楽しい。ミニベロでも山は登れる。」という紅さん。「平地ならディスクカバーホイールがオススメ」だそうです。ミニベロでの走りに目覚めて1年そこそこでここまで上り詰められた、そのストイックさに脱帽…。これからもミニベロのポテンシャルを広くアピールしてくださることを、期待しています。
<参考:Miyano Cycle Works 韋駄天ディスク451 装着例>

車体:Miyano Cycle Works / ピッコロレーサー *Link → Instagram

車体:Tern / Surge *Link → Instagram