ミニベロファンのみならず、多くの自転車好きにとって自転車に乗るのはとても楽しく気持ちがいいこと。自転車が健康にいいことも知っているし、風を感じて走るだけでリフレッシュして気分が良くなる。でも、どういう理由でどのくらい健康にいいのか、なぜ気分が良くなるのか、具体的にご存知の方は少ないはず。自分の好きな自転車の良さを周りの人にも伝えたい!自転車通勤制度の導入を職場に働きかけたい!そんな時に使えるデータが、9月10日にシマノから公開されました。人に伝えるまでではなくても、自分で再確認・納得できますので、ぜひご覧ください。

画像は「Health Data File」のデータを提供している「Cyclingood(サイクリングッド)」のTOPページより。「Health」(健康)、「Life」(生活)、「Social」(社会)の3つのテーマで、自転車がもたらす豊かさについてさまざまな情報を届けている、シマノ運営のウェブサイトだ。
自転車と健康の関係が簡潔にわかる「Health Data File」
今回公開されたのは、(株)シマノが専門家と共に実験・研究を行っている自転車と健康に関する結果をまとめたファイル「Health Data File」。自転車運動が健康にどのような効果をもたらすのかを「メタボ」「ロコモ」「ココロ」それぞれにデータファイル化。また健康を取り巻く社会背景や自転車運動の機能などをまとめた「導入編」ファイルも用意されています。
PDFファイル内の画像も、JPEGをZIP形式で一括でダウンロードできるようになっているので、何かの資料に参考データとして挿入する際も便利です。
なぜいま自転車なのか? がわかる 社会の変化
健康をとりまく状況と自転車運動の特徴を説明する「導入編」では、都市環境や国民の健康づくりを目的とし、自転車を積極的に活用する社会へ向かう取り組み、「自転車活用推進計画」の紹介から始まり、高齢化が進む一方で平均寿命と健康寿命に10年の差がある「健康づくりが必要な社会背景」や、病気にかかっていない状態を 「健康」というのではなく、安定した心身のコンディションと、 社会との接点のある生活が 健康な状態であると考えた上での「自転車運動がいい理由」と続きます。
自転車運動の大きな特徴は、「誰でもできる」「いつでもできる」点であるとし、
・誰でも自転車経験があるからはじめやすい。
・通勤などの時間を活用でき、忙しい人にも取り入れやすい。
・風を受けて走るため、実際の運動強度よりもラクに感じる。
・下肢への衝撃が少なく、ツラさを感じずに続けられる。
といった、年齢や体力を問わずに誰でも手軽に取り入れられる、現代 人に適した運動法だと説きます。
自転車運動の機能と特徴、
・有酸素運動による体重・体脂肪率・血液性状などの改善
・ペダリングによる筋力強化
・ストレス解消や認知機能向上などメンタルへの効果
は、サイクリストなら納得の部分ですね。
参考資料のページでは、電動アシスト自転車の人気が最近高まっていることを受け、「電動アシスト機能に頼ると運動にならないのでは?」という疑問に、都内で行なった実験の結果を紹介しています。
ぽっこりお腹も内臓脂肪もスッキリ!
「メタボ編」では、 「メタボとは?」から始まり「自転車運動がメタボ対策にいい理由」「Data 体重と体脂肪」「Data 中性脂肪と悪玉コレステロール」「Data 血糖値」「Data 心疾患」「Data 血液性状【自転車通勤者の実態】」などを収録。歩行との比較や、自転車運動の効果について、多くのデータを基に分かりやすい説明が掲載されています。

自転車運動は基本的に有酸素運動であるため、脂肪燃焼効果が高いという特徴がある。さらに、同じ運動時間で歩行と比較した場合、自転車運動は知らず知らず適切な運動強度に達しているケースが多く、辛さを感じないのに運動効果が期待できる運動法だと言える。
その他、中性脂肪と悪玉コレステロールが大幅に減少、最低血圧が改善された方のデータや、運動時のエネルギーとして血糖が使 われているのも自転車の方が高く、自転車運動は糖尿病予防・改善に効果的だと言えることなども紹介されています。
通勤時に「クルマや公共交通機関のみ」を利用する場合と、「自転車」を利用する場合の心臓疾患・がんによる死亡/発症リスクのデータも、社会人には興味深いデータですね。
自転車運動でメタボを予防・改善する方法はこちら!
一生歩ける身体づくりにはやっぱり筋力!
骨や関節、筋肉など運動器の衰えが原因で、立つ・歩くといった基本的な移動機能が低下している状態を「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」といい、転倒による寝たきりを防ぐためにも早めの対策が必要です。「ロコモ編」では「ロコモとは?」から始まり、「自転車運動がロコモ対策にいい理由」「Data 太ももの筋力(膝を伸ばす・曲げる力)」「Data 太もも筋肉の面積」「Data 膝伸展筋力と椅子からの立ち上がり(中高年)」「Data 血中ホルモン」を収録、「ペダリングは階段1段とばしと同程度の関節の動き。」など、なるほど〜と思うような説明が多数紹介されています。
自転車に乗るとモヤモヤが晴れるのはなぜ?
人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など、心理的ストレスを感じている人が増加。このストレスに対し、上手く対処できる方法を複数もつことが、 悩みや不安を長引かせないためにも重要です。「ココロ編」では「自転車運動がココロにいい理由」「Data 自転車通勤による心理状態の変化」「Data 自転車通勤による気分・情動の変化」「Data 自転車・ウォーキングの印象分布【ペース違い】」「Data 労働生産性の変化」「 Data 脳機能」「なぜ自転車に乗るとココロもアタマもスッキリするのかの考察」を収録し、ストレスを解消するための自転車運動のポイントについて説明しています。

精神の状態も健康にとって大切な要素のひとつ。通勤に自転車を用いることで大きな違いが生じ、仕事にもプライベートにも影響を与えることが分かっている。次ページの「Data 労働生産性の変化」と併せて、自転車通勤の提案に強力な裏付け資料になりそう。
経験的に何となく分かってはいたけど、きちんと整理できていなかった「なぜ自転車に乗るとココロもアタマもスッキリするのか」についての考察。こうして分かりやすく教えてもらえると、スッキリしますね。
「自転車と一緒につくる健康的で豊かなくらし」を提案するシマノ
今回ご紹介した「Health Data File」は、シマノが「Health」(健康)、「Life」(生活)、「Social」(社会)の3つのテーマで、自転車がもたらす豊かさについてさまざまな情報を届けている「Cyclingood(サイクリングッド)」のウェブサイトで提供されています。
自転車の具体的な健康効果を研究者へのインタビューや科学的データで解明していく「Health」、自転車がもたらす楽しさや暮らしのあり方をさまざまな人や出来事にフォーカスする「Life」、自転車を活用したまちづくりに取り組む自治体や従業員の健康づくりを推進する企業の活動などを通じて、社会に貢献する自転車の活用事例をレポートする「Social」といった各コーナーでは、様々なテーマを設けた専門家へのインタビュー記事をこれまでに多数掲載しています。
同サイトでは、自転車の車種の違いやギアの使い方など、スポーツバイク初心者の方が理解しやすい現代自転車考の読み物も用意。これから自転車に乗りはじめる方には特におすすめです。