サイト内記事でトップのアクセス数を誇るミニベロロードの製品情報。以前からごく一部のみで交わされていたその「ミニベロロード」という言葉をここまで拡げたのは、SNS上でのワード数で見れば2017年モデルとして2016年8月に先行発表されたTern(ターン)のSurge(サージュ)と限定生産モデルのSurge Ltd.(サージュ リミテッド)だと言えます。SurgeをはじめとするTernのノンフォールディングミニベロは、クロスバイクのラインナップと併せてRoji Bikesと呼ばれ、TernとKitt designのコラボレーションで生まれたプロジェクト。「ROJI」とは「路地」を意味し、ストリートユースとしての利便性と実用性を兼ね備えたスタイリッシュかつスポーティでファッショナブルな最高のアーバンバイクを目指し、ライダーの「乗りやすさ」と乗車したときの「美しさ」を追求しています。今回は、開発者へのインタビューをもとにしたSurgeシリーズの設計思想と、Surgeシリーズの2020現行ラインナップをお届けいたします。
小径が故のクラシカルでソフトなイメージが大半のミニベロのマーケットに退屈だった
唯一無二の、攻めたミニベロロードを世に出したかった。
自分がそうであるように、需要はあると確信していた。
ロードバイクで主流となったエアロフレームの攻撃的なスタイルに触発され、またROJI BIKESらしいストリート性を持たせる上で、アルミエアロのFIXIE (ピストバイク)のフレームシェイプも意識した。ストリートアーバンバイクとして前の年にリリースした、650CのRIPと同じチューブ構成でフロントトライアングルを組んだのもその表れだ。
尖ったハイトのあるダウンチューブ(以下 D/T)と、シートクランプが一体化されたティアドロップ型のシートチューブ(以下 S/T)はエアリーで当然エアロ効果を得られるが、それと同時にD/T、S/TともBBシェルへの接合面積が大きくねじれ剛性が高いため、ライダーのペダリングパワーをダイレクトに推進力に変えることができる。加えて、リアトライアングルをコンパクトに設計することで発信加速性を高めている。

左:フレームはホリゾンタル設計となっており美しいフォルムに。また、トップチューブ位置を低くする事でまたぎやすい設計になっている。 右:2 bolts & 2 nuts式を採用したシートクランプは、美しいシルエットはそのままに、フレームを保護しながら安心感ある固定力を発揮する。
ミニベロの弱点である、低速時のハンドリングのふらつきについては、ロードバイク用とほぼ同じブレード長のフォークを採用し、一般的なミニベロよりもステアリングのヘッド位置を高く設定することで、軽減させている。
ミニベロは700C等のロードバイクに比べBB Dropが小さくなり、そのためS/TとC/S(チェーンステー)間の角度が狭くなり、そのままS/Tに平行してFD台座を設けるとフロントディレイラー(以下 FD)の変速不良を巻き起こす原因となる。<そんな小径車をたくさん見てきた> Surgeでは、特徴的であるティアドロップ型のS/TにFD台座を後方にオフセットさせ、しかも角度を設けることでFDが持つ本来の変速性能を損なうことなくライディングを楽しめる。

左:ロングブレードのフォークを採用することで、車体全体がシャープな印象に。また、その見た目だけでなく、通常のミニベロよりもステアリングのヘッド位置が高くなるためミニベロ特有のハンドリング時のふらつきが軽減される。 右:変速性能を落とさないオフセット台座を装備。ミニベロ特有のジオメトリーだとシートチューブとシートステー間の角度が大きくなってしまいFDの変速性能を落としがち。これを回避するためFDを後下方にオフセットさせる台座を直付けし本来持つ変速性を確保している。
フレームシェイプに注目を集めるSurgeだが、最大のこだわりはジオメトリーにある。ターゲットを30〜40代の日本人男性に絞り、彼らの平均的な身長、上半身・下半身のバランス、腕のリーチにおいて「最大のパフォーマンス」を生むミニベロロードのジオメトリーを割り出したと自負している。「最大のパフォーマンス」とは走行性能だけを示しているのではない。ライダーをカッコ良く見せることも、バイクがライダーに提供するパフォーマンスの大きな要素であると考える。Surgeは 見てよし、走ってよし、見られてよし を兼ね備えた唯一無二のストリートミニベロロードだ。

左:ヘッドチューブからのステアリングコラムを長めに残すことで、アップライト気味から超前傾姿勢まで広範囲にハンドル高を調整できる。 右:カーボンエアロホイールを標準装着し、エアロ形状の大胆なフレームをより一層攻撃的に演出。
Surge(2020現行モデル)
都会での移動だけでなく、ロングライドなど多彩なシーンでの活躍が期待される。攻撃的で美しいホリゾンタルのシルエットと451規格の20″ホイールがよりスポーティさを強調。ダウンチューブのロゴが2020年モデルから一回り大きくなり、リフレクティブデカールとなった。
Speeds:16
Weight:10.0 kg
Wheel Size:20″(451)
Frame Size (Wheel Size)/Rider Height Range:470 (20″/451)/160 to 170 cm、520 (20″/451)/170 to 180 cm
Colors:Silk Polish、Matte Black、Midnight、Stone Silver
Price(Completed):
Silk Polish:¥ 95,000(税別)
Matte Black、Midnight、Stone Silver:¥ 92,000(税別)
Surge Pro(2020現行モデル)
見るものの心を奪い異次元へと誘うシルエット。専用設計で開発された カーボンフォークを装着したミニベロロードが限りない可能性を生み出す。 別売のカーボンホイールを装着することで、 パフォーマンスも見た目もより完成度を増すスピードスターを作り上げることができる。 カスタムベースとして「フレーム&フォーク」セットでも販売。
Speeds:20
Weight:8.9 kg
Wheel Size:20″(451)
Frame Size (Wheel Size)/Rider Height Range:470(20″/451)/160 to 170 cm、520(20″/451)/170 to 180 cm
Colors:Matte Yellow / Black、Delta Blue、Delta Red、Delta Green
Price(Completed):
Matte Yellow / Black:¥ 168,000(税別)
Delta Blue, Delta Red, Delta Green:¥ 172,000(税別)
Price(Frame & Fork):
Matte Yellow / Black:¥ 98,000(税別)
Delta Blue, Delta Red, Delta Green:¥ 100,000(税別)
<開発者コメント>
Surgeフレームの特性をより引き出すためカーボンフォーク・軽量ホイールを新たに開発し、ミニベロロードとしての機能性を高めた。そこにはよりレーシーさを与えるためにロードバイクやTTバイクを意識した、あえて主張の強い存在感あるグラフィックを採用。またDeltaカラーではSuper Smooth Weldingを採用し、溶接痕が無くまるでカーボンフレームのような滑らかでエアリーな上質感あるフレームに。ミニベロで巷のロードレーサーに負けずにぶっ飛ばしたい人には是非乗ってもらいたい。
Surge Uno(2020現行モデル)
Labプロジェクト第6弾として昨年登場した大人気モデルSURGE UNOが待望の標準モデルにラインナップ。Rojiを代表するモデル「SURGE」をベースにシンプルで攻撃的なシングル仕様となっている。エアロ形状のフレームフォルムとブルホーンバーの絶妙なバランスは美しく、シングルミニベロとして高い完成度を誇る。リフレクティブデカールを採用し夜の街では鮮やかに輝く。
Speeds:1
Weight:8.9 kg
Wheel Size:20″(451)
Frame Size (Wheel Size)/Rider Height Range:500(20″/451)/ 165 to 175cm、520 (20″/451)/170 to 180 cm
Colors:Matte Black、Khaki
Price(Completed):¥ 72,000(税別)
<開発者コメント>
Surgeの持つ前衛的なスタイルを最も際立たせるために シンプル且つストリート色の濃いシングルスピードバイクに仕立てた。フレームは単にシングルスピード仕様にシンプルにしただけでは無く、より機敏な操作性を持たせるためヘッド角、シート角も変えたUno専用ジオメトリーを有する。ハブはフリップフラップ式でフリー/固定を好みで選べる仕様にし、Dropや突き出し角度にこだわった専用ブルホーンバーも開発、UNOの持つ前衛性を高めた。間違いなくミニベロ界の異端児にはなるが、これ系が好きな人に遊び道具としてストリートでタフに使ってもらいたい。