屋内での保管や公共交通機関を利用して車体を持ち運ぶ 輪行(りんこう)を手軽にできる、フォールディングバイク(折りたたみ自転車)はとても便利ですが、よく利用されているもう一つのスタイルが公共交通機関ではなく「自分の車で持ち運ぶ」こと。近年よく言われる、自転車の2輪とクルマの4輪を足した「シックスホイール(6ホイール)」です。今回は、8月26日(土)にグランド・オープンが予定されているボルボ・カー 堺から今年発売されたばかりのV90 Cross Countryをお借りして、京都府北部の丹後半島方面へ行ってきました。気軽にできるシックスホイールのスタイルと、その旅の様子をぜひご覧ください。
*この記事で紹介している情報は、2017年7月時点の取材に基づいています。
都会の喧噪を離れ、遠くへ。
シックスホイールの最大の利点は、他の荷物も自由に積めること、そして公共交通機関ではないので気兼ねしないこと。加えて言うなら、ドライブもサイクリングも両方楽しめる点も。とにかく旅を存分に楽しめることのできるスタイルです。自由に、自分らしく、もっと遠くへ。それではさっそく、出発しましょう。

ラゲッジスペースはリアシートを倒すことなく広い空間を確保している。わざわざ自転車を輪行袋に入れなくて良いだけでも、気が楽だ。テールゲートは電動開閉式で、ハンズフリー機能も搭載している。両手が塞がった状態でもリアバンパーの下で足を動かせばテールゲートが自動的に開閉してくれるのはありがたい。今回登場しているDAHONをはじめとするフォールディングバイクなら一瞬で折りたためるので、旅先での積み込み積み降ろしも苦にならないだろう。
ボルボ・カー 堺のある大阪府堺市北区から最初の目的地伊根町までは、京都縦貫自動車道経由で2時間強のクルマの旅。全モデルに標準装備されている4つの世界初を含む16種類以上の先進安全技術により、道中は安心感に包まれた移動となりました。中でも、車速140km/h以下で走行中に、自車を車線の中央に保持するよう自動的にステアリングを穏やかに修正してくれるパイロット・アシスト(車線維持支援システム)は、実際に何度か作動しサポートしてくれました。その他、サイクリストとの衝突回避・被害軽減に働くドライバーへの警告や自動ブレーキなど、自転車好きとして嬉しい機能も装備されています。
予定よりも早く高速道路を出たので、山の方へ足を伸ばしてみました。オフロードこそなかったものの、つづら折りや急勾配が連続するの道でも車内は快適そのもの、ドライブを思う存分楽しむことができました。タフで実用的な、それでいて気品あるエクステリアからも、本当の強さを感じずにはいられません。
美しいマテリアルと先進のテクノロジーがキャビンで一体となった、この格調高く機能性に満ちた空間を一度味わうと、その走行性能の高さと相まってずっと走っていたい気分に。

乗車ポジションの大切さは、自転車もクルマも同様。フロントパワーシートは、しっかりとしたサポートときめ細かな調整機能を備えており、誰もが理想的な着座姿勢を見つけられる。目的地までの道のりを安全かつ快適に、しかも思いのままに走らせていけるクルマ作りを目指すボルボの精神を感じる。
懐かしい漁村の情緒に触れる
最初の目的地、伊根町に到着。着いて早々、サイクリングを楽しみます。堺からほとんどノンストップだったにもかかわらず全く疲れを感じませんでした。
自転車を下ろして、車体をサクッと展開し、ヘルメットを被っていざ出発!潮の香りが心地いい。

伊根湾を取り囲むように建ち並ぶ伊根の舟屋の町並みはドラマや映画のロケ地にもなり、伊根町の代名詞となっている。伊根湾は日本海にありながら南向きで波が穏やかであることなど、その特異な自然条件を活かして建物が建てられている。舟屋は約5kmにわたって230軒ほど並び建つ。
最初に向かったのは、ランチをいただくINE CAFEの入る、伊根町観光交流施設「舟屋日和」。当日は曇りの予報で、往路の高速道路では降雨もありましたが、タイミングよく青空が広がりました。

後ろの建物が、京都府伊根町の新たな観光拠点として今年4月にオープンしたばかりの、飲食店や海を望める休憩スペースなどが入る観光交流施設「舟屋日和」。専用駐車場はないものの、七面山駐車場から徒歩でも数分。自転車は専用の駐輪場に停める。
刻々と変わる伊根湾の景色や色合いを優雅に眺めながら、コーヒーやランチが楽しめるカフェがここINE CAFEです。夕焼けから日が沈むときに見られる海の色、空の色、そこに浮かび上がる舟屋のシルエットや家の灯りが神秘的だそうです。今度は違う時間帯に、またぜひ訪れたいですね。
お目当は、地元の食材を使った日替わり定食などのランチ。今回は海鮮ちらしをいただきました。
日本海から大きく内側に回りこんだ位置にある伊根湾は、穏やかで、湖のように凪の海。海岸沿いに並び立つ舟屋が特徴的なここでの移動は、すぐに止まれる、狭い道もスイスイの自転車での移動が便利です。距離もあまりありませんが、高低差がほとんどないので、初心者にオススメのサイクリングスポットです。

今回の自転車は、DAHONの16インチのロングセラーモデル Curve D7。小さなボディながらハンドルの高さを自由に変えられるアジャスタブルハンドルポストにより、高身長の方でも快適に乗ることができる。ファミリーで共有されることも多いようだ。
ホイール径が小さく可愛らしいルックスであるにも関わらず、適切なギア比により簡単にスピードが出せるところがミニベロ(小径車)の面白いところ。美しい景色を楽しみながら、思いつくままに自転車を走らせます。
舟屋以外にも見所は色々。こちらの向井酒造は、女性杜氏による 独創的なお酒が人気の、創業260年の造り酒屋さん。昔ながらの建物の雰囲気が素敵でした。
伊根を訪れたら、陸から見える舟屋とは違った町並みを見ることができる、伊根湾めぐり遊覧船もオススメです。ウミネコが船の手摺に等間隔にとまって休んでいました。
湾内一周30分の船の旅。波穏やかな湾に建ち並ぶ舟屋群を海から眺めると、また異なった趣が楽しめます。船に寄ってくるカモメやウミネコに餌を投げるとうまくキャッチし、子どもたちも楽しそう。

1階に船揚場がある舟屋は、母屋から道路を挟んで海際に建つ。海面すれすれに建てられた舟屋は全国でも大変珍しく、その景観は伊根町独特の詩情を漂わせている。漁村として初の「重要伝統的建造物群保存地区」にも選定されている。
静かに揺れる波、行き交う船、水面に浮かぶ鳥の姿を、旅の思い出に刻む。
そろそろホテルに向かいましょう。夏の伊根湾散策で火照った身体をエアコンの効く車内でクールダウンさせながら、ホテルまでの道程を楽しみます。
極上ステイに酔いしれる
「ハーブ香る欧風リゾートホテル」がキャッチコピーの今回の宿、橋立ベイホテルに到着しました。天橋立を臨みながら寛ぎのひとときを過ごせる客室、カジュアルにフレンチを提供してくれるレストラン、数々のリラクゼーションメニューや、気持ちの良い対応のホテルマン。今回は1泊だけの利用だったのが悔やまれた、読書にでも耽りたくなるように心地良いホテルでした。
都心部からフラッとドライブを楽しんでくるのにいい距離感。客室にはホテルオリジナルの絵本まで用意され、静かな自然に囲まれているということもあり、夕食までのひとときをゆっくり寛ぐことができました。
汗を流して部屋で寛ぎ、お楽しみの夕食へ。ホテルの1階にあるフレンチレストラン「フィーヌズ・エルブ」では、丹後の旬の魚介をメインに、自家栽培の野菜とハーブで仕上げた創作フランス料理をいただけます。店内はガラス張りのオープンキッチンで明るくカジュアルな空間です。今回はリーズナブルにフルコースをという方にぴったりのBコースをいただきました。地産地消という素晴らしいコンセプト、味は当然のことながら視覚でも美味しくいただくことができました。
歴史に想いを馳せる
ぐっすり眠って、清々しい朝。オトナの女子旅2日目は日本三景の一つ「天橋立」を中心に散策します。朝食は、料理スタッフが施設内で栽培した摘みたてのハーブ、有機野菜と、丹後のしぼりたて牛乳、放し飼いの地鶏卵、宮津名産のかまぼこ、日本海で採れた魚の干物など新鮮で安全な素材をふんだんに取り入れ一番おいしい方法で調理した和洋の朝食バイキング。リフレッシュして、今日は自転車で出掛けます。
朝食後、支度をして天橋立方面にサイクリングに出掛けました。ホテルから天橋立の南端までは、阿蘇海の南側を自転車で走って20分強のちょうどいい距離です。天橋立へのアプローチに着くと、立派な山門の姿に目を奪われました。智恵を授かる文殊さんとして有名で、受験や資格試験などの受験生やその家族がお参りに来られる「智恩寺」という寺だそうです。さっそく中に入ってみました。
参拝しに本堂に行くと、すえひろ「扇子おみくじ」を発見。扇を広げることで吉凶の結果が分かる作りになっています。おみくじが結びつけられた松の木が華やかで面白いですね。
いよいよ天橋立に上陸します。天橋立は宮津湾と内海の阿蘇海を南北に隔てる砂州で、全長3.6kmの松林の中を自転車でも走ることができます。入口にはレンタサイクルの店もたくさんありました。
せっかくなので往復走ってみました。片道20分程度の距離なので、誰でも気軽に走られていいですね。途中には、恋愛成就のパワースポットとして人気の天橋立神社(橋立明神)もあります。

龍伝説がいくつか残っている天橋立の中で、八大龍王を祀っている。すぐ横には日本名水100選の一つ「磯清水」があり、周りを海に囲まれているにもかかわらず真水が湧いている不思議な井戸として神社参拝の際、手水として利用されている。ひっそりと佇む神社の姿は、いかにもパワースポットという雰囲気。
自転車での移動だと、ある程度の距離も気軽に往き来できるので便利です。それがさらに自分の自転車だと、レンタサイクルの時間や台数を気にする必要もありません。いい汗をかいたので、海水浴場で休憩も。

日本三景の一つ「天橋立」には、白砂青松を具現するかのごとく一帯には約8,000本の松林が生え、東側には白い砂浜が広がる。この松は、人の手により植林されたものではなく、大部分が自然発生的に生えたものだ。幅は20mから最大170m程度。砂州の成り立ちは理解していても、これほどまでに細長い土地が自然にできたことを不思議に感じる。
午前中思いっきり遊べたので、ランチ休憩をしにカフェへ。後ろに見える橋はちょうど回転中の「廻旋橋(かいせんきょう)」です。この後、土産物店を散策したら、大阪に戻ります。
都会の喧噪を離れ、遠くへ。その旅もいよいよ終わりに近づきました。既に自分の手足のような存在となったV90 Cross Countryを走らせていると、程なくしてゲリラ豪雨さながらの激しい雨に包まれました。「車外がどんなに厳しい状況だったとしても、車内は別世界」と謳うカタログどおり、安定した走りとリラックスして運転に集中できる車内環境が、V90 Cross Countryには変わらず在り続けました。トンネルを抜けると雨は止んでいました。京丹波PA「道の駅 京丹波 味夢の里」に寄り、土産物を見て回ります。
古民家のシルエットを外観のモチーフとした同PAは、その内部も京都府内で採れる桧をふんだんに使用し温かみのある空間を演出しています。「直売所」「お土産」の2つのコーナーから成る京丹波マルシェの豊富な品揃えに土産選びで悩んでいると、ふと地ビールコーナーが目に留まりました。そしてその近くには丹波ワインのコーナーも!
大阪には、まだ陽の高い時間に到着しました。また日常に戻りましたが、大切な思い出は一つ増えました。「丹波の黒豆」ビール独特の、焙煎黒豆とホップの苦みとコクを味わいながら、旅の余韻に浸るとします。
今回巡ったルート
「ボルボ・カー 堺」のある大阪府堺市からドライブが楽しめる程よい距離、旅先で自転車を活用できるエリア、走ること自体が目的のサイクリングではなく、その土地の歴史や町並みに触れられる地域の一つとして、今回は伊根と天橋立周辺を選定しました。鉄道やフェリーを駆使して輪行でアクセスすることも可能ですが、シックスホイールの手軽さをぜひ皆さんも実行してみてください。
今回V90 Cross Countryをお借りした「ボルボ・カー 堺」は大阪市営地下鉄 御堂筋線 新金岡駅のすぐ近く。8月26日(土)にグランド・オープンを予定していますので、VOLVOや欧州車に興味がある方は要チェックです。